三十の反撃

1番最初は「普通の人」というタイトルだったことを知ってめちゃくちゃ頷けたし、「ああ、みんな私と同じ普通の人なんだなあ」と思って心底安心した。

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抱きしめてくれたギュオクが諭すように放つ言葉が、優しくて、現実。誰にもなれず何も語れずに何も出来ず何も言わずにただ生きることは寂しくもなるし疑問も不安も後悔も恥も生まれて時々この世から消えたくなる時がたくさんあるけど、結局そういう風にしか生きられないとだんだんと気付く。でも別にそれは間違っているわけではなくてただそうであるだけで、そんな自分を責める必要は一つもないということ。そして他のみんなもそうだということになるべく早めに気付くこと。それが沈んだ沼から這い上がるたった一つの方法だということ。そして、声を上げることで変わる何かがあるかもしれないと希望を持つこと。現実は厳しく残酷だけど、可能性を信じることはできる。もちろん絶望することもあるだろうけど。

特別であろうとする必要はなくて、すでに自分はただ一つの存在であるということ。しかもそれは証明する必要のない事実だ。

誰にもなれない自分を何も生み出せていないと最低に思いつつ、社会のノイズにならずにただ居られることに心地よさも感じるっていう対極に存在してそうな思いが1人の人間の中に同時にあるのが普通なんだ、私も普通なんだって思えて存在が全肯定された。この本を読み進めて行く中で自分のどこかが救われたようでちょっと楽になった。

今年で三十になる93年生まれ。そんな私は世界で一つだけの存在といういつもある事実!忘れないでいこ!

生きていればいずれわかるよ。誰でも心の奥底に、いろんな姿をした人が何層にも重なってたくさん入ってるってことを

私たちは愛のために愚か者になってしまった人たちのことをずっと歌ってきたが、現実の世界では絶えず計算をしてきた。計算しない愛は傷になる。残るのは恥ずかしさのこもった後悔だけだ。

心の中を隠さずにただ表に出すだけでも、何かを変化させることができるということ。